アルブチン

アルブチンは、シミへの効果があるといわれているハイドロキノンの糖誘導体のことで、美白化粧品に配合されている最もメジャーな成分です。美白アイテムに欠かせないアルブチンについて、詳しく説明していきます。

美白成分アルブチンのシミへの効果

美白効果のある成分はたくさんありますが、その中でもアルブチンの効果は非常に高く、厚生労働省にも認可されています。アルブチンはハイドロキノンとブドウ糖が結合してできた物質で、化学的な構造はハイドロキノンにかなり似ています。

では、そのアルブチンにシミ・そばかす改善の効果が期待できるのはなぜなのでしょうか?シミやそばかすの原因となるメラニン色素は、アミノ酸の一種であるチロシンが酵素チロシナーゼと結びついたものです。

アルブチンはこの酵素チロシナーゼに働きかけて、メラニン色素の生産を抑制するため、シミやそばかすを改善する美白効果があるというわけなのです。

現在、“メラニン生成を抑えシミ・ソバカスをふせぐ”と効能表現して販売できるのは、厚生労働省に申請し許可された医薬部外品のみとなっています。有効成分の申請を行い、認可を得るには、ヒト試験で安全性を確認しなければいけません。そのため、厚生労働省に認可されれば、一定の安全性が確認できたという証明となります。アルブチンが厚生労働省から認可されたのは、1990年のこと。大手化粧品メーカーである資生堂が開発・申請し、承認され今に至ります。現在、アルブチンは特許期間が終了したため、資生堂以外のメーカーが発売する美白化粧品でも使われるようになりました。

アルブチンが資生堂から有効成分として承認されたその作用機序は、「メラニン生成に関わるチロシナーゼの活性を阻害する」というもの。厚労省が承認した美白有効成分としては、現在承認されているものの中でも比較的初期のものとなっています。

1980 年より承認申請の書類が整備され,有効成分申請には,ヒト試験が必須となった。当初は「日焼によるしみ・そばかすを防ぐ」という表現は,化粧品の日焼け止めでも表示できる表現と同一であった。しかし 2001 年より日焼け止めでは「日焼けによるシミ・そばかすをふせぐ」,医薬部外品では「メラニン生成を抑えシミ・そばかすをふせぐ」という効能表現となり,後者には美白化粧品という言葉が慣例として使われている。

〜中略〜

最初のターゲットはメラニン生成のキー酵素であるチロシナーゼの活性抑制であり,1989 年コージ酸(三省製薬)64),1990 年アルブチン(資生堂)65), 66)から,前者は銅酵素であるチロシナーゼをキレートすることにより,後者は拮抗阻害することにより,効果を表すという機序で有効成分として承認された。以降下記に示すように続々と開発が進み,毎年のように承認許可された。

出典: (PDF) 「シンポジウムI:『香粧品の『過去を知り,未来を語る』』香粧品の有効性の歴史的変遷」日本香粧品学会誌,39(4)2015 [PDF]

美白成分アルブチンの種類

美白成分アルブチンには、α-アルブチンとβ-アルブチンの2種類が存在します。

α-アルブチン

αアルブチンは、2002年頃から化粧品に配合されるようになった成分。お菓子でお馴染みの会社江崎グリコとスイスで医薬品を製造しているペンタファーム社によって共同開発されました。

αアルブチンの特徴は肌馴染みの良さ、そして肌への浸透率・定着度が安定しているところ。肌トラブルを起こしにくいので敏感肌で悩んでいる女性におすすめです。

美白作用はβ-アルブチンの約10倍。効果が高い分、α-アルブチンが含まれている美容液はβ-アルブチンが含まれている美容液よりも高額になるケースが多いようです。

α-アルブチンの効果

美白成分として使われ始めた歴史としては、β–アルブチンよりも新しいα–アルブチン。実際に、その美白効果の高さや、安全性がしっかりと確認されています。

α-アルブチンは江崎グリコ(株)が開発した独自のバイオ技術による酵素化学的に製造される物質で,メラニン色素生産を抑制する効果が高いことから美肌を訴求する化粧品に使用されている.
従来,美白成分として化粧品業界でアルブチン(β-アルブチン)やコウジ酸が有名であるが,β-アルブチンの異性体であるα-アルブチンは美白効果がβ-アルブチンやコウジ酸よりも優れており,極めて高い安全性が確認されている.

出典: (PDF) 「αーアルブチン配合繊維「ウリアントα ホワイト」の開発」繊維機械学会誌,56(4)2003 [PDF]

化粧品原料に要求される次の10項目の試験で安全性が確認されている. 急性経口毒性試験,皮膚一次刺激性試験,連続皮膚刺激性試験,感作性試験,光毒性試験,光感作性試験,眼刺激性試験,変異原性試験,小核試験,ヒトパッチ試験

出典: (PDF) 「αーアルブチン配合繊維「ウリアントα ホワイト」の開発」繊維機械学会誌,56(4)2003 [PDF]

従来使用されてきたアルブチン(β–アルブチン)よりも美白効果が高いことを理由に、最近では、α–アルブチンを配合した繊維も開発され、紫外線からお肌を守るUVカット衣料として活用されるまでになっています。

β-アルブチン

β-アルブチンは1989年に資生堂が開発した美白成分です。開発してから長い年月が経った現在は資生堂の特許が切れ、様々な美容液に配合されています。

成分名に「アルブチン」とだけ記載されている美容液は、β-アルブチンを指すことがほとんど。お手頃価格でゲットできることがほとんどですが、α-アルブチンと比べると美白効果は劣ってしまうようです。

特徴を比べてみると分かるように、同じ「アルブチン」でも種類によって美白効果や手に入れやすさが異なります。

アルブチン配合の美白化粧品を購入の際は、値段と効果のどちらを重視するか決めてから、配合されているアルブチンの種類を確認しましょう。

β-アルブチンの効果

もちろん、β–アルブチンもα–アルブチンよりも美白効果の点では劣るものの、老人性色素沈着などの治療にも使われてきた歴史がある、立派な美白成分。医学雑誌でも、アルブチンが持つ、肝斑に対する臨床効果は実証され、今でも資生堂からは、α–アルブチンを配合した美白スキンケア商品が発売されています。

最近,人工sun burn後の色素沈着を有意に消退させる有望な美白剤としてhydroquinone-β-D-glucopyranoside (Arbutin)とkojic acidとがあいついで市販され,特にアルブチンは肝斑に対し用量依存性に有効で,10%濃度では老人性色素斑にも漂白効果を示したが,化粧品製剤として適度な美白効果と安定性を有する3%乳液製剤がホワイテス・エッセンス(R)(資生堂)の商品名で市販された

出典: (PDF) 「アルブチンの肝斑に対する臨床効果」皮膚,34(4)1992 [PDF]

美白成分アルブチン配合の美容液

α-アルブチン配合の美白美容液

  • DHC/Fエッセンス
  • リベラータ/モイスチャーエクセレントセラム
  • アルソア/ヌクォルセルエッセンス
  • ブランブラン/ブリリアントエッセンス

β-アルブチン配合の美白美容液

  • ちふれ/美白美容液W
  • エクサージュ/エクサージュホワイトホワイトネスソリューションEX
  • オルビス/エクセレント・ホワイトエッセンス
  • ハウスオブローゼ/ホワイトニングスポットエッセンスAR
  • ボーテドコーセーホワイトサクシード/セラムCR

アルブチン配合の美白美容液の使用方法

アルブチンを含む美容液は「シミができる前に塗布する」というのが正しい使用方法です。アルブチンの基本作用は、紫外線をブロックしてメラニンの生成を防ぐこと。

つまり、既にできてしまったシミに塗っても、すぐに消すことは難しいのです。ただし、薄いシミの場合はビタミンCと合わせて使用することでターンオーバーを促進できます。

アルブチン配合の美白美容液の副作用

アルブチンは数ある美白成分の中でも比較的アレルギー反応や肌荒れなどの副作用が起こりにくい成分です。

ただし、アルブチンのベースは「ハイドロキノン」なので、過去にハイドロキノンを使用してアレルギーを引き起こしたことがある方は注意が必要。心当たりがある方は、念のためにパッチテストを受けることをおすすめします。

また、敏感肌の方も同様にパッチテストを受けておいた方が良いでしょう。アルブチンを含む美容液の中には、自然由来のアルブチンを使用している商品と合成のアルブチンを使用している商品があります。

合成のアルブチンは美白効果や安定性が高められていますが、肌への刺激も強められている可能性が高いです。炎症・乾燥が起こりやすい肌質の方は使用を避けた方が良いでしょう。

天然由来のアルブチンが含まれている商品の中で高い美白効果が期待できるのは、アルブチンの働きを助けてくれるビタミンC誘導体が配合された美容液です。

アルブチンの効果をより高めるには?

EGF(上皮成長因子・細胞再生因子)との併用

EGFとは、肌の表面での成長因子を意味するタンパク質の一種です。 アルブチンで防ぎきれなかったメラニンを、ターンオーバー活性化成分が肌代謝を促進、外へ排出する働きをします。なかでもEGFは、皮膚再生医療分野において火傷の治療などに実績があるターンオーバー活性化成分。 アルブチンでメラニン生成を抑制、同時にEGFで排出を促します。シミを防ぐには効果が期待できる組み合わせです。

APPS(新型ビタミンC誘導体・高浸透ビタミンC誘導体)との併用

APPSとは、ビタミンC誘導体にパルミチン酸を導入し、水溶性ビタミンC誘導体に油脂性の効果が加えられた新型ビタミンC誘導体です。APPSの浸透力は、水溶性ビタミンC誘導体の100倍あると言われています。 敏感肌の人も、安心して使えるような肌に優しい低刺激を実現しました。アルブチンでメラニンを抑え、APPSで真皮層までビタミンを浸透させるため、美白効果・活性酸素の除去といった効用が期待できます。

アルブチンと似たような効果を持つ成分は?

プラセンタの効果

プラセンタとは、胎盤から細胞分裂を促進する成長因子や栄養素を抽出したものです。プラセンタの情報伝達によって体全体の細胞がリフレッシュされ、血流やホルモンバランスなどが和らぎます。総合的な効果により肌がきれいになる、たるみやしわを改善、肌の若返り促進、ホルモンバランスを整える(更年期治療に適用)などの効果につながると言われています。

ヒト由来プラセンタエキス(HPE)は、ヒト胎盤ホモジネートをプロテァーゼ処理したのち、遠心分離して得られた上清液からエストロジェンやビタミンE等の脂溶性物質を除去したものであり、医薬品原料や化粧品 原料として用いられてきた。HPEは臨床的には、近視性および老人性脈絡網膜ジストロフィー患者の症状の改善 [27]、肝機能障害、更年期障害、および胃十二指腸潰瘍等の改善[28]に用いられており、日焼けや色素沈着に対する抑制作用、抗変異原作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、繊維芽細胞の増殖抑制作用を示すことが報告されている[20-22,27,29,30]

出典:ヒト由来プラセンタエキス中の抗酸化物質に関する研究(PDF) ヒト由来プラセンタエキス中の抗酸化物質に関する研究 [PDF]

コウジ酸の効果

コウジ酸とは、味噌や酒造りなどに使われる麹に含まれる麹菌を培養して作られた美容成分です。昔から酒造り職人の手肌が、きめ細かく美しいことから、麹に含まれた肌をきれいにする効果に注目されてきました。1981年に美白に効果があると認められ、医薬部外品に認定。美白成分の1つで、安全性も高いと言われています。コウジ酸には美白効果だけでなく、お肌の弾力を守るコラーゲンの減少を防ぐ効用があります。お肌のハリを守りながら、シミ・くすみ対策に役立ちます。

女子の顔面色素増加症に対しては, ビタミンC, グルタチオン製剤内服などの治療が行われているが難治である。外用剤には著効を示すものは見当らず, 女性の顔面であるだけに悩みは深刻であり, 種々の民間療法が試みられている。今回, 私達はコウジ酸配合剤を27例の女子顔面色素増加症を対象に試用した。被験対象の約半数に化粧品による接触皮膚炎の既応があり, それらでは副作用の出現率が明らかに高かつた。51.9%の治効を得たが, これは, 他の外用剤に比べ優るとも劣らぬと考えられ, 内5名については自他共に満足すべき結果を得た。

出典:西日本皮膚科コウジ酸配合製剤の使用経験—女子の顔面色素増加症にたいする治療効果—